2023年6~7月、チケットが手に入らず観劇できなかった、星組さんの「1789-バスティーユの恋人たちー」の大劇場公演。それが映画館にて「レビューシネマ」と銘打ち上映されています。
梅田にてせおっち(瀬央ゆりあさん)舞台あいさつ付の「レビューシネマ」を見た娘に、すごくすごくよかった!とおすすめされて、見に行きました。
映像は「2023年7月2日 宝塚大劇場」のもの。ムラ千秋楽ですね。
有沙瞳さんなど退団者がいた公演ですが、ご挨拶部分はなく、本編のみ。
幕間休憩がないので、直前にトイレをすませて臨みます。
歌がいい
星組トップスター礼真琴さんは、聴衆の心を鷲掴みにする歌心をお持ちのジェンヌさん。海外ミュージカルも自分のものとして軽々と歌いこなしてしまいます。耳福とはこのこと。
しかし、この公演で、「星組さんにはこっちゃん以外にも歌うまさんがいっぱいじゃない!」と気づきました。特に、ロナン(礼)・デムーラン(暁千星)・ロベスピエール(極美慎)・ジョルジュ(天華えま)の4人が声を合わせる1幕終盤のシーンは、歌声に重量感があり、革命へと向かう若いうねりが十二分に感じられ、胸が熱くなりました。バスティーユでのハカダンスっぽい、体をクラップしながら歌うダンスもカッコよかった!
恋愛シーンに感情移入できなかった
半面、オランプ(舞空瞳)との恋愛シーンはどこか上滑りで、やらせっぽくて、(眠いなこのエピソード)とか思ってしまった。お互いいつどこに惹かれたのかがピンと来なかったです。オランプに魅力を感じなかった・・・。このカップルの「お互いであらねば」という熱情が胸に迫れば、ラストシーンはもう少し感動的なものになっただろうにと感じました。
有沙瞳のアントワネット
アントワネットを演じた有沙瞳さんは、歌ヨシ演技ヨシの私の推しジェンヌさん。
パーティ好きで、純真で、病弱な息子思いの母親で、と多面体のある役を、華やかに演じ切りました。ドルビーシネマは低音のほうがいい響きをするようで、惜しむらくは、有沙さんののびやかであろう高音の歌声が、ちょっとキンキン聴こえてしまったのは残念。
大きなスカートがくるくる回るシーン、有沙さんで見れてうれしかったな。あと、パレロワイヤルへお忍びで行くとこ、お花がいっぱいついた赤い頭巾かぶっているのが、世間知らずを露見してておもしろかった。やんごとなきお人って、すぐバレるやん。
小桜ほのかの存在感
実力派ジェンヌとしてのお名前はたびたび聞いていたものの、初めてはっきり小桜ほのかさんを認識しました。ロナンの妹・ソレーヌ役。とても存在感がありました。
田舎から出てきた芋娘っぽいメイクで、運命への怒りや兄への心配をもてあましている様が、せつなく伝わってくる熱演でした。骨太の演技をする方ですね。
ラストはちょっぴり不満・・・フィナーレは最高
再演の「1789」ですが、東宝版・宝塚版ともに未視聴の初見でした。
史実なので流れはわかるのですが、それにしても中途半端なところで終わるんだなあ。
せめて革命が成功するとこまで描いたらいいのに。
顛末も不満。民衆側にとってはもうちょい明るいラストでもいいのになあ。
フレンチミュージカルに文句言うのはおこがましいか。
1本ものでもフィナーレ(短めのレビュー)があるのが、宝塚の楽しいところ。星組トップコンビはダンサーコンビでもあるので、デュエダンもとても良かったです。
海外の大型ミュージカルを、オペラグラスなしの高音質で、しかも近所の映画館で鑑賞できて、映画館、アリだな!とほくほく帰路につきました。
とはいえ、今後、歌劇団がどう存続してゆくのか、暗雲がたちこめています・・・。11月13日現在、私の中では劇団への不信感がいっぱい。宙組解散は当然ですが、自浄作用のない劇団自体に存在する価値があるのかを問うています。才能と未来ある若い女性たちが、どれだけ泣いてつぶされてきたのかと思うと・・・。ファンだったからこそ、腹立たしく悔しくて仕方がない。